ホーム球場で選手が登場するときに登場するときに流れる「登場曲」。ファンにとっては、イントロが流れた時点で胸が高鳴る"スイッチ"だが、選んだ選手本人にとってもそれは同じ。
今回は投手編をご紹介。マウンドで奮闘する彼らが、その曲を選んだ背景や理由を尋ねた。
昨季、球団新記録の69登板(しかも3年連続の60試合以上!)とチームを支え続けた「サブちゃん」こと福山博之。
その登場曲はファンにはもうお馴染みのレッドスパイダー(RED SPIDER feat,KENTY GROSS ,BES)の『天気晴朗!!』だ。なぜ選んだのか。
尋ねると、「僕のバイブルなんです」と、この曲と歌詞同様に、熱いコメントが返ってきた。
「作者が僕のバイブルみたいな人でもあるんです。生き方、考え方、もうその人しかあり得ないというか。この曲はみんなで闘いに行って、最後、旗揚げるぞっていう歌詞なんですけど、そこが特にカッコいい」と福山。
作者は、関西を中心に絶大な人気を誇るレゲエサウンドマンのJUNIOR。日本のレゲエシーンを牽引する存在だ。福山はこの曲を快進撃の始まる3年前から使用している。
福山と同じく、今季の頼れるリリーバーのフランク・ハーマンも、テンションが上がるカッコいい曲を選んでいる。
こちらは1990年にリリースされた世界的ヒット曲で、今も多数のアーティストがカヴァーしているAC/DCの『Thunderstruck』。インパクトのあるギターのリフで始まる同曲は、メジャーリーガーにも人気が高い。
2015年のセーブ王マーク・マランソン(パイレーツ)ほか、今季はメッツのエース、ノア・シンダーガードが使用しているが、かつてはヤンキースで松井秀喜も使用していたことがある。
メジャーでもお馴染みで、期待感を煽る名曲だからかと思いきや、ハーマンが選んだ理由はまったく違った。
聞けば、「息子のお気に入りの曲なんだ。デイケア(託児所)に連れていく時に、車内でよく聞いてたんだよね」と、子煩悩なイクメンの一面が垣間見られた。
昨季のキャンプで何人かの選手が話題にしていたのが、映画「ワイルドスピード」。そこで、昨季からシリーズ7作目の挿入歌『Go Hard or Go Home』にしているのが、古川侑利だ。
仲間とともに敵の組織を打倒するこの映画のテーマ曲は、サントラ盤でも人気が高い。古川も「洋楽で調べてて、これだって見つけたんです。気分があがるから」と選曲した理由を語った。
対照的に90年代の日本の音楽シーンを席巻した邦楽を選んだのは、ルーキーの森原康平。1999年にリリースされた浜崎あゆみの「Boys & Girls」だ。
珍しいので「今は懐かしの…」と言ってしまい、森原に「めちゃはっきり言いますね」とかぶせ気味に返された。
やや気分を害したようで申し訳なかったが、本人もファンに受け容れてもらえるか、少し躊躇しつつも貫いたようだ。
森原と仲の良い同じルーキーの高梨雄平は、ファンとの一体感を重視して決めた。シクラメンの『ららら★フェスティバル』だ。軽快でノリのいい同曲を選んだのは、「タオルが回せる曲、盛り上がる曲なので」とのこと。
実はプロ入り前から決めていたそうで、ファイターズの有原航平にも相談したという。同じ早稲田大学のチームメイトだった有原は、同期でライバルで友人。
彼に話したところ、「これはいいよ」と本人の口調をものまねしながら語ってくれた。2014年のドラフト1位右腕の友に"太鼓判"を押され、よしと決めたそうだ。
選曲ひとつにも、好みや性格や思い入れがあらわれるというもの。そうした思いを汲んで、選手たちを登場から盛り上げて見守っていきたい。
http://www.jsports.co.jp/press/article/N2017052916552601_2.html